vol5:インドの冬は結婚式シーズン!!
2003年10月30日公開 2004年09月28日更新
     
インドの結婚式は派手派手〜というのは皆様も
お聞き及びの通り。毎年ディワリ前後から結婚式の
招待状が届き始めます。招待状も金、銀、赤など
おめでたい色使いで色々な形式があり眺めるだけでも
楽しいもの。

花嫁側から招待されるか、花婿側の招待か、
普段の付き合いの度合いによってどの儀式から参列
するかが決まります。
例えば・・・花嫁側の場合にはレディースサンギート
という女性だけが集まって行うダンスと歌の宴が催され、
その際にメヘンディワラを呼んでメヘンディを施して
もらったり、嫁入りに持参する金製品やサリーのお披露目があったり。


まずは項目別にインドの結婚事情解説をご覧あれ!
(注:ここで紹介するのはパンジャビ・北インド風の結婚式の場合です。)

お見合い記事
インドの新聞、日曜版には必ず「Matrimonial」というページが少なくとも10ページほど
あって、色んな項目別に分けられています。出身地・共通言語・学歴・カーストなどなど。
一人一人売りこみの台詞がふるっていて、じっくり読むのが趣味になってしまいそう。
「当方身長165センチ、スリムで色白なグジャラート出身25才女性。。学歴のある長身で
年収○○以上の男性を求む。連絡は○○新聞私書箱○○へ」「アメリカ在住のNRI男性
コンピューター技師、178センチ、パンジャビ出身。家族はルディアナ在住。英語に堪能で
色白美人のパンジャビ女性求む。カースト問わず。連絡はルディアナの両親へ」など
内容は結構具体的で、「え〜、自分のことこんなに褒めてるよ〜」という内容のものもあり。
カースト廃止とは言いつつも、ここではモロにカーストまで書いてあるのがインドの矛盾。
実際にこれで結婚が決まった人が多いので侮れないシステムなのです。
もちろん「近所のおせっかいおばちゃんの口利きで」なんていうのもありますが、両親が
とても真剣に子供の結婚に口だしするのがインドの常。恋愛結婚はまだまだ比率が
低いのが現状です。

掲載日に結婚記念日を迎える有名カップルの写真が載っている。
これは映画スター、アニル・カプールの結婚記念日のもの。

婚約式
めでたく話がまとまったら、すぐに「婚約式」と相成ります。双方の親族一同の顔見せも
兼ねているのです。男性から女性へ婚約指輪が、女性から男性へはスーツ生地などが
贈られます。婚約式でもお坊さんをよんでプージャが行われます。
花嫁側の準備
ダウリ《持参金》は法律で禁止されたとはいえ、結婚式関連となると花嫁側の負担大です。
「娘3人持つと家が潰れる」とは日本でも言いますが、インドは準備すべきものが多くて
本当に大変です。まずは金製品…タゴール映子さんの著書「嫁してインドに生きる」に
出てくるように「金の腕輪ひとつも持たない嫁なんて…」と言われることのないように
嫁入り道具として金を選ぶ女性とその家族の真剣な眼差し…インドに金や宝石を扱う店が
多いのも頷けます。ネックレスとイヤリングのセット・チュ−リ(腕輪)セットなどなど…
(花婿もお母さんや姉妹に「結婚式で向こう(花嫁側)にひけをとらないように」と金のセットや
新しいサリーを購入したりするのです。参列の親戚達の分まで、女性にはサリー、男性には
スーツ生地を贈る習慣があるので双方ともに結婚前はお金に羽根が生えて飛んで行く)














(花婿の衣装も様々…「おいおい、映画スターかい?」ってな感じのデザイン多数。
上は広告より抜粋)

それからお次は結婚式のサリー。これも品揃えのよい店で次から次に見せてもらい
それでも決まらなければ次の店へ…何せ一生に一度のことですから。赤や金糸銀糸、
ビーズを使ったものが結婚サリーの定番ですが、家によって「赤」のシェードが決まっていて
朱赤・真紅・マルーン(えんじがかった赤)などなど様々。結婚式サリーやレンガチョ−リを
扱う店はたいていが一面布団のようなふかふかマットレスがひいてあり、選ぶ側は
ゆったりと座って(または寝転んで)時間をかけて選べるシステムになっています。
あんまり一杯見せられて、訳がわからなくなることもあるのでいくつかピックアップしてから
家に借りて帰り、家族親戚と相談してから決めることもできます。
サリーまたはレンガチョーリーが決まったらすそ上げやふち飾りをつけてもらったり、
ブラウスを縫ってもらうのにテーラーに行ったりで大忙し。披露宴を何日かに分けて
行う場合にはその都度サリーやレンガチョーリを換えますから選ぶだけでもクラクラッ…
お次は靴も!!きらきらライニングつきや金銀の靴が売っていて、「シンデレラ」もびっくり。
おまけに嫁入り道具としてのサリーやおよばれ用のパンジャビスーツなども新調するので
花嫁は買い物だけでもヘトヘト。インドで結婚するのは体力勝負???


レディースサンギートとメヘンディ
結婚式前に花嫁を囲んで女性が集まって歌や踊りで賑わうのが「レディースサンギート。」
ここで親戚の女性たちに金製品やサリーなどのお披露目をして、わいわいおしゃべりに
花が咲きます。メヘンディワラも雇われて、女性にメヘンディを施すのもこのとき。

お式の前日は花嫁は自分の持っているサリーやパンジャビスーツの中で、綺麗なもので
人にあげても良いものを着て、メヘンディに挑みます。(手足で何時間もかかるので「挑む」
という表現がぴったり!?)孔雀やマンゴなどのめでたい模様の中に、各所に小さく小さく
花婿の名前のアルファベットがちりばめられます。《この意味は?答えは下欄にあり》
終わったらレモンと砂糖をまぜたものをコットンにひたしてメヘンディにぴたぴた付けます。
そうすると色がきれいに残ると言われます。
一晩はこのままで、最後の晩餐はメヘンディがとれてはいけないのでお母さんに食べさせて
もらったり。(朝起きたらメヘンディがポロポロと落ちていてねずみの糞みたい…失礼。)
式当日、親族や招待客は「メヘンディ見せて〜!」と花嫁の手を取ります。メヘンディの色が
濃ければ濃いほど、「お姑さんから可愛がられるお嫁さん」なんだそうですよ。


花嫁用のチューリ(腕輪)
10本くらいのセットになっている赤い腕輪、両端に白がセットされたものが花嫁用。
1セットまたは2セット重ねつけする場合もあり、両手分を準備します。
チューリの赤の色もサリーと同じく家によってシェードが決まっています。
結婚式当日、チューリのプージャの際には「牛乳」にひたされ、お坊さんが容器から取り出す
までは花嫁に見せてはもらえません。花嫁の友人たちはこの儀式に招待され、鉄の腕輪に
きらきらの飾りを結び付けます。この飾りが多いほど友人も多く、祝福されたということ。
かのカリシュマ・カプール(女優)の結婚式の写真で「ひゃー、これ何??」と思われた方も
いらっしゃるかも。(下の写真でロロが右手にしているのがそうです。)
あわせて、台所用品などのミニチュア飾りのついたひも製腕輪(写真右下参照)
を「かた結び」で足首に・・・・・・さてその理由は??あとのお楽しみ!答えは下欄



赤白セットの花嫁腕輪は結婚後1ヶ月(地域やカーストによっては3ヶ月)何をするときも
はずしてはいけません。新婚さんの間は花嫁は家事、特に水仕事はしなくて良いと
言われています。チューリの塗りがはげたりすると「あの家では嫁をこき使っている、結婚して
すぐから水仕事させてるからチューリの色が剥げてるよ」なんて噂されたりするのです。

 
 左:花嫁用サリーと赤白セット花嫁腕輪     右:これがカリシュマの右手についている飾り


結婚式当日
花嫁側は午前中に前述のチューリの儀式・プージャが行われます。
それが終わると美容室へ!!人気のある「花嫁」専用メークアップ・ヘアアレンジのできる
美容師さんは予約がとりにくいので、みんな前もって評判を尋ねまくり、友人知人のつてで
これは!!と思う人に予約を入れます。まずは着用するサリーを見せて、それに合わせて
メークとヘアアレンジ。ばしばし逆毛をたてられて、あれよあれよという間に「お〜!!
ボリウッドスターもびっくり!」の髪型に。持参した花飾りをつけて髪が整ったら今度は
メーク。「うお〜!!そんなにアイライン入れるんかい!おいおい、マスカラだまになっとるでぇ」
という暇もなく、てきぱきと片付ける美容師さん。メークの仕上げはビンディ。これも手描きで
鮮やかなデザインをあっと言う間に作る技術に驚愕。その間にアシスタントがやってきて
手足をマッサージされ、マニキュア・ペディキュア。ふぅ、終わった!と一息つくスキも
与えず、『お立ち台』に上がって今度はサリーの着つけ。流石にプロだけあってそのサリーの
柄が一番綺麗に見えるように着せてくれるのでありました。

花嫁が着つけをしているその頃…

花婿側はテント張りの会場でプージャ。家族の年長者たちが
花婿にターバンを巻いたり銀の頭飾りを蒔きつけたり、
お金がいっぱいついた首飾りをかけたり…(右写真)とこれまた忙しい。
日がとっぷり暮れたら親族は結婚式会場に移動します。
まずはスナック類や飲みもので一息ついて、白馬にまたがった
花婿の準備が整ったら近しい親族は踊りながら会場に入場!!
馬だけでなく、ラクダや象を手配することも可能!!インドの
結婚式はなんでもあり!!!??
派手派手に飾られた玉座(?)で花婿はしばし歓談。
花嫁の登場を今や遅しと待つのです。

結婚式
花婿到着から小1時間…ようやく花嫁の到着です!!周りを親族の女性達に囲まれ
ジャイマラ(花の首飾り)を手に粛々とすすむ花嫁。ジャイマラの交換が終わると観衆から
やんやの大喝采が沸き起こります。それからしばらくは玉座に座った花婿花嫁にお祝いを
渡したり、写真を撮ったり。


右はカリシュマ・カプールの結婚式。
右端がやはり女優のカリナ・カプール
サーモンピンクのサリーを着ているのは
花嫁のお母さん。
カプール家も「パンジャビ」式の結婚式。
(写真はヒンドゥスタンタイムスの記事より)





頃合を見計らって神聖なる結婚の儀式「プージャ」が始まります。
お坊さんの先導にしたがって、燃え盛る火の中にお供えをそなえたり、結婚の誓約を
唱えたり、ガンジスの聖なる水を口にしたり…これをもって「花嫁の家」は「嫁ぎ先」に娘を
還すのです。{娘は生まれたときに嫁ぐべき先から神様によって預けられたもので
大切に育てて嫁ぎ先にお返しする、という観念}最後に花婿の首にかけたマフラー(ココナツの
実が巻いてある)と花嫁のサリーの端が結ばれ、聖なる火の周りを7回まわって儀式終了です。

それからようやく食事・披露宴へとうつりますがこれが大体23時または翌日になってしまった
なんてことはざら。披露宴は更にダンスが始まって夜明けまでドンチャカ賑やかに続くのです。
パンジャビの結婚式には「バングラダンス」がつきもの。ビーズ刺繍や金糸銀糸で
重た〜い花嫁衣裳も何のその、花嫁も花婿も踊りまくります!!
インドの結婚式は招待された側も体力勝負!?
花婿花嫁はそのあと家に戻りますが、「花嫁をはじめて家に迎え入れる儀式」というのが
まだまだ続くのでありました。……上の質問の答え:お見合い結婚の新婚さんが
ゲーム感覚で相手に慣れていけるように、それぞれの足に結んだチューリ(幾重にも結ばれて
いる)をほどきあったり、花嫁のメヘンディに隠された花婿の名前のイニシャルを探すため
手をとりあったり、水盤に入れた牛乳の中から二人で指輪をさぐりあったり…と様々な趣向が
こらされているのです。何と初々しいことよ……


    手をとりあって誓いのことば            バングラダンスは夜通し続く……

披露宴
結婚式と披露宴とが同時に行われる場合もあれば、2日間にわたって(または3〜4日)別に
行われることもあります。結婚式は親族中心、披露宴は来るもの拒まず形式をとっている場合
が多いようです。


招待客の心得
1:お祝い
  普段のお付き合いの度合いにもよりますが、結婚のお祝いはお金で渡す場合には
  吉祥数で。501、1100、11000ルピーなど。インドで売っているご祝儀袋にはすでに
  1ルピーがついているものがありますから、これを利用すると便利です。
  参列するのが自分だけか、家族全員で行くのかによっても金額は異なりますから、
  身近なインド人(招待側と同じ生活レベルの人)に尋ねると良いでしょう
  品物の場合、銀食器や電子レンジで使える食器セットなどが定番。日本的な飾り皿や
  置物などもOKです。(イスラム教徒には日本人形などは「偶像」になるのでご法度)
  
2:参列人数
  招待状には「Mr.○○○ and the family」と書いてありますが、ここでちょっと
  インド事情をご説明。インド人は「女性側からの招待か、男性側からの招待か」によって
  参列人数も考えて対応しているのです。結婚式・披露宴の費用はたいてい女性側の
  負担であることが多いため、少しでも負担を減らすべく、「女性側からの招待のときは
  一人または夫婦二人で」そして「男性側で参列のときは家族総出で」というのが
  暗黙の了解。
  これまたおもしろい風習(?システム?)が一つ。披露宴のバイキング料金は「取り皿」の
  枚数で計算されるのです。近しい親族や友人の場合にはそのあたりも考えて、家族で
  一枚のプレートを使うなんてことも当たり前に行われ、少しでも招待側の負担を減らそうと
  「持ちつ持たれつ」の助け合い??貧乏臭い話ですが、実際にあるおはなし。

3:着ていくもの
  男性は背広またはインド風にクルタパジャマで(但し生地はシルクなどで)参列を。
  女性はきらびやかな席ですからそれに応じた服装で。サリーで参列なさる場合には
  ベナレスサリーに代表されるようなシルク、金糸入りや流行りのビーズ付サリーなど。
  (ビーズ付サリーは日本人感覚だと「美川憲一」か〜?と思いますが…あはは)
  パンジャビスーツも上質なもので参列なさって下さい。
  (お値段で3500ルピー以上のパンジャビスーツならまず大丈夫でしょう。)
  着物で…とお考えの場合にはきらきら目立つ模様のもので。
  地味な「粋」さはインド人には通じませんから、帯も錦・金糸入りなどがお勧めです。
  (古典的模様の振袖が一番なんですが30過ぎて振袖と言うわけにも……)

4:腹ごしらえ
  上記のごとく、招待状にはジャイマラ儀式20:00と書いてあったとしても最低1時間は
  遅れますから、会場に向かう前に、軽くおにぎりなどで腹ごしらえしておかれたほうが
  得策かも。スナック類(パコラやフルーツチャート、シークカバブなど)は充分準備されて
  いますが食事は23時ごろになることが多いです。また招待側の宗教・食事の制約
  (ヴェジかノンヴェジか)なども前もって尋ねておかれたほうが安心ですね。
  アルコール類もカウンターが設けられていることもあれば、こっそりとテントの裏で
  出されている…なんてところもあります。
  (ジャイナ教やイスラム教の場合には禁酒披露宴)